映画「アメリカン・スナイパー」の感想です。
実話をもとにした映画という感じですね。ところどころ“盛ったな”というところがありました。
スナイパーというある意味ワンパターンになりやすい主人公でしたが、子供が武器を持ったりするところの心理的な変化で飽きないようになっていました。子供は撃ちたくないよね。でも爆弾持って特攻して来たら撃たないと味方死んじゃうよね。仕方ないけど精神を病んでいくというのはしっかりしてたと思う。
何より無双ではなく無力感もしっかりあるのがよかった。情報提供者を守り切れずに子供が拷問で殺される所はきついけど無双感なくてよかったと思った。子供が殺されるのだけできついのに、ドリルよドリル。電動ドリルみたいなので足にグリグリしてから頭グリグリよ。
シンプルにきつい。
爆弾持って特攻してきた子供は“しゃぁない”が先行したけどドリルは……。相手のスナイパーがしっかり陣取ってて何もできなかったんだよね。こういう先に抑えた方が勝ち、とか不用意に出ないあたりもいい。なろう系とか見てると不利な状況から無双して勝ったりするからね。そういう都合のいいことだけじゃないのが戦場、という感じがしっかり出てた。
“戦争で壊れ行く人々”というのも描かれていた。壊れていく弟に負傷していく味方。油断すると一瞬で死ぬ場所だからね。戦場で命のやり取りしてるからシンプルなのは助かる。メキシコ系の脅すための行動はきついんだよ。だからこそ子供のシーンがきつい。
撤退時の砂嵐、映画の演出かと思ったら実際にあるのね。ニュース映像で見てびっくりした。砂の壁って感じの強さだった。いつもあるわけじゃなくたまにだけかもしれないけど、あんなはっきりするとは……。ゲリラ豪雨の境目くらい砂と空気の壁ができてた。
というかあの中にヘリコプター入って大丈夫なのん?車はまぁ行けそうだけど飛ぶのは心配になる。
問題はラストよ。なぜ死んだのか……。敵関係ないっぽいんですよね。恨みによる犯行かと思ったけど、PTSDになっていろいろあった人が犯人。自分より優れた相手への妬みとかもありそうな感じだった。
ラストで実写映像を使うのはよかったよ。でも理由がわからないままなのがなぁ。たぶん奥さんはPTSDの人を見慣れてないから違和感あっただけだろうし、裁判中だったのかもしれないけど謎のままだった。解決を求めるタイプの人には不向きかもしれない作品です。