シニャの趣味部屋

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【ウクライナ大飢饉】映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』 感想【ホロドモール】

1932年から33年にウクライナで起こった大飢饉についての映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』の感想です。見た理由はシンプルですね、まぁ普通の人ならわかると思うので書きませんが、こういうタイミングじゃないと見ない映画ってあるんですよ。

はっきり言って映画としてみたら面白くなかったです。盛り上がりも特になければウクライナの時間も短くそこまで悲しみは広がらない。あくまで伝記映画としていろんな闇を見る作品ですね。

というよりこれ2019年公開の映画なのよ。こういう事態になることを想定したプロパガンダな気がしてる。2014年がクリミアだしいろんな部分で動いていたってことかな。

前置きはこの辺にして感想に行こう。

 

主人公は実在の記者がモデル

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ヒトラーに取材したこともあって次の大戦を予測して笑われてた。世界恐慌真っただ中だから誰も相手にしなかったのね。映画だから真実に近づいた人として描いたのか実際にわかっていたのか……。この辺はどっちでもいいのでスルーしていこう。

ソ連の予算がおかしいということから始まる侵入生活。世界恐慌で経済的にやばいはずなのにソ連はしっかりお金があるんだよ。それがおかしいということで突撃してた。いや、他国というか共産圏って独裁国家なのによくそこに行こうとしたな。当時の価値観だと普通だったのかな。現代の私の感覚だと旅行はあっても取材はない。そもそもジャーナリストだと旅行の選択肢にもならないよ。いろんな理由つけていろいろできるからね。

ビザは1週間なのにホテルは2泊しかないという罠。この辺も闇なのよね。他のホテルには泊まれないということなので帰るしかないんだよ。行く時は1週間みたいな感じだったけど実際は2泊だとやれることも少ないしさっさと帰れって意味でしょうね。

 

もっと闇な記者暗殺

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知り合いの記者が死んでた。電話の時に明らかに盗聴&切断されてたからそういう危険もあるってことでしょうね。この辺は今でもたくさんやってそう。切断はさすがに違和感あるし電話も携帯で無線だからないだろうけど、盗聴はたくさんしてそう。

というかこの女の人なによ。知り合いで殺された記者がウクライナを調べてたという情報をくれたのはいいけど、主人公となんかいい感じになるのが謎だった。やっぱり恋愛要素を入れないとダメなんだろうか。本筋に全く関係ないからどうしてこうなった……という感じだった。でもあまり関係なさすぎるとランボーラストなんたらのあの女の人クラスの便利屋になってしまうからそれはそれでだめなのか。登場人物と役割は難しい。

自分の招待状も偽造して何とかウクライナ行きをGETした主人公。電車を途中で降りて勝手に乗り込むとは……。この主人公さぁ、“真実を見つける”って目的はいいし、権力に飲まれない感じもいいんだけど、目的のためには手段は選ばないタイプなんだよ。不法侵入とか余裕なタイプ。なんか勝てば官軍というか特ダネGETできれば勝ちみたいな感じがして好きになれん。まぁ毒を以て毒を制すというし、無法には無法で立ち向かったということにしておこう。

 

迂闊な主人公

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だいぶ後になるけど、送り返される時に女の人の名前呼ぶのもそうだけど迂闊すぎるのよね。仕事中にこんな発言したら確実に怪しまれるに決まってる。現地の人を使って穀物をトラックに乗せる作業してた時に現地の人に聞いたんだよね。これでバレて密告からの銃撃&逃走だった。穀物がモスクワへ運ばれることを突き止めてこれが資金源だということもわかった。ただその取り立てが厳しすぎてウクライナの人たちの食べるものが亡くなって餓死者が大量発生したということ。

電車の中でも食料をもとめるひとが多くて食糧事情がよくないことがわかる。この後村を周っても子供に騙されるわ死体運んでるわで悲惨だった。到着時にすでに死体あったけどね。泣いてる赤ちゃんを死体と一緒に積んだのが印象的だった。母親が死んでもう誰も育てる人いないしほっといても死ぬから一緒に乗せたんだろうね。死体ほっといたら疫病とかの心配もあるし移動させる人はいたんだろう。普通に「ホロドモール」で検索したら死体の画像いっぱい出てくるからね。検索時は注意です。

 

権力の犬

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権力が強すぎて普通にマスコミしてたら死ぬという罠。それで権力の犬になって生きるしかない。こういう人もある意味被害者なのよね。権力につかないと死ぬから選択肢がないんだよ。自由な国なら別の選択肢もあるけど独裁国家なら選択肢はない。批判しただけで死ぬ場所があるんだよね。政権握ってる人たちのことをボロクソに言っても問題ない日本という平和な国でよかったと思う部分です。

人質を取られてウクライナのことはなかったことにするようになったんだけど、普通に公開してた。結局ソ連側の記者から否定する記事が出て頭のおかしいやつ扱いを受けてた。本当のことを語っただけで干されるのはよくあると思えるほどの見慣れた展開。本当の事より全体の流れが大事なこともあるからね。正論ばかり言う人は嫌われるのと同じ……ではない。この場合は情報操作であって隠蔽だからかなり悪い。まぁ記者は書かないと殺されるというか自分と家族の生活が懸かってるから書くしかないんだね。やっぱり独裁国家は怖い。

 

ようやく記事なる

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これが事実上のラストっすね。記事出たあとの世界の反応がないのが残念だった。この記事をどう受け止めたのかという部分まで知りたかったけど、これはあくまで主人公メインだからそこまでないんだろうね。ホロドモールがメインならウクライナ人が主人公泣きもしないではない。否定的な記事が出た後にこの記事を出すからどっちを受け止めるかってのはあったと思うのよ。実際に行われてたことが分かった時の反応とかも見たかったからそういう意味では物足りなかったな。ホロドモールメインの映画があればいいんだけどどうやらないんだよ。ウィキの題材にした作品しか見てないけどね。もう一つは孤児の物語だから違うしなぁ。“ペンは剣より強し”を行くのかと思ったらそうでもないし……。ソ連穀物巻きあげてウクライナで食料がなくなって大量の餓死者が出た、という情報を知った後に見るのは微妙な作品だった。

 

モデルの人は29歳で死んだ

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満州とはまたやばい所に来たものだ。当時の日本とソ連仲良かったんだっけか。原爆直前まで仲介頼もうとしてたくらい信用してたからなぁ、宣戦布告されるんだけど。

こういう人たちってどうして危険地帯に行くのかな。今もウクライナにジャーナリストたくさんいるけど、正義感なのか自己顕示欲なのかわかんない。今はネットにすぐあげられるけど当時は取材して帰ってきてからじゃないと公開できないしいろんな制約もあったから大変だよね。それが普通な時代とはいえ危険な所に飛び込まんでも……と思う。やはり私は権力に飲まれるタイプだろうね。

 

最初にも書いたけど正直映画としては微妙だった。ただタイトルの通り『共産圏の闇』としてみれば行けるかもしれない。映画じゃなくてドキュメンタリー番組で見たかった気がしてきた。物足りないのはそういう部分なのね。ウクライナが悲惨になっていく過程とかないんだよ。もっと地獄かと思ったら、さらって流すだけだからなぁ。現地民の心の動きとか見たかった。元の認識と求めてたものによって感想の変わる映画だと思う。私は向こう側は“そういうもの”って認識だったし、報道機関も同様の認識だし、見たかったのはウクライナの地獄だったから物足りなかった。抵抗する意思がなくなるまでの過程がないのがなぁ……。最初は食料持っていくことに抵抗したと思うのよ。それで抵抗することができなくなって……という過程が見たかった。その辺の心の動きとか無力さを痛感する所があればよかったかな。もっと私の心をえぐるような作品を見たかったけど赤ちゃんの泣き声が一番きついだけだった。たぶん実際はもっと地獄だったよね、そう考えると物足りない。私のみたいものと映画で伝えたいものがズレてたから微妙に感じたんでしょうね。

というか今調べたら3月1日にスペシャルプライス版発売だった。流石に予定されてたと思うけど公開が3年前と考えるとちょっと早いような気がしないではない。

 

本記事の画像は『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』より引用しています。